「砂漠」

初めまして

最初のブログは伊坂幸太郎の砂漠について書こうと思う。

 

この物語は中学生だった僕を最終的に京都に導くことになったものだからだ。本の紹介と一緒に誰も求めていない近況報告をしようと思う。それでも良いと思う。これは僕の備忘録だからだ。

 

砂漠は五人の大学生についての物語だ。それぞれの五人の個性すらも頭から抜け落ちている。昔に読んで本自体も実家にあるのかどうかと行方不明の状態だから覚えている情報は本の紹介をするつもりなのか自分でも怪しい。印象的だったのは五人の大学生が一つの部屋で雑談や麻雀をしながら夜を過ごすところだ。中学生の時の僕はこんな大学生活に憧れていた。

 

別に中学時代の僕には友達が全くいなかったわけではないと思う。それは僕の妄想で誰も僕のことを友達だと思っていないとしてもそれほど驚かないかもしれない。その時は勉強と部活の二つが僕を縛っていたような気がする。常にその緊張感で周りを気にすることが出来ていなかったと思う。

 

そんな僕は高校に入っても変化はなかった。部活は県大会に行くことができればラッキーくらいの気持ちで軽い気持ちで臨めるようになったが、その代わりに勉強がより強く僕を縛ることになった。

今、考えてみればどうしてあんなに夢中になって英語の文法や数学の公式なんて面白くもないものを四六時中覚えようとしたのだろうか。大学では英語や数学の勉強の意欲が驚くほどの低空飛行になってしまった。いや、意欲はもう既に墜落している僕にとって理解ができない。大学の一回生の時に使っていた数学の教科書はゴミ箱に捨てた。

 

その時の自分は勉強ができることに自分の価値を見出して、勉強ができなくなれば自分の価値がなくなると思っていたのだろうか。過去の自分に伝えることができれば僕は勉強方面での価値はないと伝えてあげたい。自分よりも頭がいい人なんて山のようにいる。そんな人たちにに難しいことは任せておけばいいと。

 

 

僕は中学生の時と同じような高校生活を過ごすことになったが、その灰色の青春のおかげで紆余曲折もあって僕は京都で大学生をすることができた。その紆余曲折を支えてくれたのは「砂漠」だと思う。実家を出て誰かの下宿で夜を過ごす自由な生活をしてみたかったからだ。僕の故郷は別の機会にしよう。

 

「砂漠」みたいな学生生活をするにあたって京都という選択は正解だった。大学周辺に下宿が集中しているから終電なんて気にすることなく友達の家で夜中に缶ビールと一緒にバックトゥザフューチャーをを見て、「やっぱり、スピルバーグは最高だ」と夜中の三時にどうしようもないくらい浅い感想を騒ぎながら下宿に帰って布団に潜って昼まで寝るなんてこともできる。近隣住民には大変な迷惑をかけてしまった。

 

そんな自堕落な生活を共に過ごした友達が僕には三人いる。僕を含めれば四人だが四人集まればできる定番のゲームである麻雀は一回もしたことがない。そもそも四人のうち一人でも麻雀のルールを把握しているかもわからない。

 

その三人とは軽音楽のサークルで出会った。どうやって仲良くなったかは忘れてしまっていたが、気がつくとLINEの四人組ができていて、誰かの家で集まって映画を見たり、音楽を聴いたり、本の話や馬鹿な話をしていた。そしていつの間にか憧れていた風景が目の前にあった。

 

最終的に目標が達成できていたわけだが、冷静に考えてみればそもそも大学生は誰かの下宿に上がり込んで酒を飲む生き物なのかもしれない。京都に来なかったとしてもこの景色は達成できていたのだろう。ただ、この四人で集まることはなかったのだと思う。

 

高校の時に僕を縛っていた教科書を僕は大学生になって閉じることができた。学問の放棄と呼んで差し支えは全くない。昼頃に目を覚まして、ヘッドホンをかけて適当に音楽を流して古本屋で買った本を開きながら過ごしていると太陽が沈むような生活を日々送っている。勤勉だけが取り柄だった僕はその取り柄を失ったけど悪い気分はしない。

 

 

 

ごめんなさい、本の紹介はできませんでした。